クレディ・スイスの経営危機
スイスの大手銀行であるクレディ・スイスの経営危機は、同じスイスのUBSによる救済買収で一旦収束しました。
この処理の中でクレディ・スイスが発行していたAT1債という劣後債の価値がゼロになったことが話題を呼んでいます。
というのも、一株あたり0.76スイスフランというかなり低い金額ではあるものの、クレディ・スイスの株式はゼロにならなかったからです。
これまでの常識では銀行の破綻処理において、守られるべき優先順位は、預金>社債>劣後債>株式だと信じられてきました。
それが今回の処置では株式>劣後債となったわけです。
ただし、今回の処理は違法でも異例でもなく、ある意味正しい処理のようです。
問題のAT1債の買い手は金融のプロたちです。
AT1債にこのようなリスクがあったことを知らなかったというのは通用しません。
知っていたが放置したか、リスクに目をつぶっていたというのが真相でしょう。
それよりもこの債券が債券ファンドなどに潜り込まされて、そのリスクが一般の投資家に転嫁されていないかをチェックしてほしいものです。
債券が安全なんてことはない
証券会社等からセールスを受ける際、「債券は株式より安全」「債券は価格が安定している」と言われることがあります。
確定拠出年金の商品説明においても債券を含んだ投資信託はリスクが小さいという案内がされます。
全部ウソとは言わないまでも、決して正しい説明とは言えません。
債券投資で大事なのは金利動向とリスクに見合った利回りが提供されているかだと思います。
昨今の金利上昇下での債券価格の乱高下を見れば決して債券投資が安全ではないとわかります。
債券投資の価値は株式の価格とは反対方向に動くことでポートフォリオ全体のリスクを下げるところにあると思いますが、ここ一年ほどの市場は株安・債券安に動いており、これも怪しくなっています。
楽天グループが発行しているリスクに比べて利回りが低いような債券についても今後問題になる時が来るかもしれません。
投資の世界ではいつでも想定外が起きる
投資の世界では常に想定外のことが起きています。
コロナショックの際は、原油価格がマイナスになるということが起きました。
東日本大震災においては、安定株と信じられていた東京電力の株が大きく下がりました。
現在のマイナス金利という状況だって、30年前には想定外だったでしょう。
わたしたちのような弱小投資家に必要なことは分散する、複雑なものには手を出さないということだけだと思います。
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