昨今のソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングという投資があります。
ウィキペディアによれば、
『ネット上でお金を借りたい人、企業』(borrower:ボロワー)と『ネット上でお金を貸したい人、企業』(lender:レンダー)を結びつける融資仲介サービスである。
ということらしいです。
私が初めて聞いたのは10年くらい前でしょうか。
その後ちょっとブームのようなものがあったものの、最近はあまり話題を聞かなくなっていました。
それがまたちょくちょく話題に上がっているのを見つけます。
どちらかというとあまり良くない話題で。
AQUSHへの投資
私もソーシャルレンディングへの投資経験があります。
AQUSHというサービスです。
あまりメジャーではなかったですが、サービス開始が2009年ですから、老舗といっていいと思います。
私が初めてAQUSHに投資をしたのが2011年、投資金額は5万円です。(当時最低投資金額が5万でした)
利益目的というよりは、物珍しさと、このような投資が成り立つのかいう興味からです。
どちらかというと懐疑的で、5万はなくなってもよいと考えていました。
最終的には1万円強の利益を生みましたから、まあ悪くない投資だったのかもしれませんが、決してリスクに見合ったリターンを得たとは言えないと思います。
運営側も大変だったらしく、2018年に新規の入金を停止、最終的には事業から撤退しています。
AQUSHのビジネスモデル
AQUSHのメイン業務は、AQUSHマーケットというプラットフォームを使っての借り手と貸し手の仲介業務でした。
AQUSHローン・マーケットの参加者は、客観的に格付評価された「個人信用リスク」をもとに取引します。AQUSHではこの格付のことをAQUSHグレードと呼んでいます。借り手は、AQUSHの審査で「投資適格」と判断されると5段階の格付(AA、A、B、C、D)のいずれかを付与されます。投資家は自分のリスク許容度に応じて、希望する格付と貸付金利を選び投資オーダーを作成します。AQUSHローン・マーケットは、その投資家のオーダーに基づき、各格付の貸出金利を決定します。
このように他の金融機関を介在させないAQUSHローン・マーケットによって、借り手は、その人の信用力をフェアに反映したマーケットレートで資金を借りることができます。また、投資家は、これまで金融機関しか投資できなかった個人の信用リスクというアセットクラスへの投資が可能となります。
いわゆるミドルリスク・ミドルリターンの投資を志向していたことがわかります。
これは、なかなか面白い仕組みで、貸し手側としても、「これはリスクがありそうだけど金利が高く取れそうだから投資してみるか」とか「固くいくか」とか選択できる楽しみのようなものがありました。
しかし、やがて借入希望者が減少していって、投資したくてもできない状況になっていったのです。
売りの一つだったリスクに応じた金利の設定も本当にうまくいったのかは疑問です。
少なくとも私の投資した案件においては、むしろ金利の高い案件ほど返済がしっかり進んだようにも見えます。
AQUSHはその後、海外への投資案件や太陽光発電への投資案件も手がけましたが、最終的には新規の資金募集を停止し、既存の案件の返金のみを行うようになりました。
最終場面ではわずか数円の返金を振込で行うなど丁寧に終了まで続けていたと思います。
これはおそらく運営会社が新たにPaidyという収益の柱を見つけ、うまくそちらに移行できたからだと思います。
ミドルリスク・ミドルリターンの市場は存在するのか
多くのソーシャルレンディングを手掛ける事業者は、ミドルリスク・ミドルリターンの市場を志向しています。
しかし、私は日本においてはミドルリスク・ミドルリターンの市場は個人・法人ともに存在しないと思っています。
このあたりの人々が日本では最も堅実に生活している人々だからです。
収入は少ないが無駄遣いせず、しっかり貯金する。
必要以上にリスクを取らず、小規模ながら堅実に経営する。
しかもローリスクに近い側はしっかりと信用金庫・信用組合あたりがサポートしているし、ハイリスクに近いところは消費者金融が入り込んでいる。
そもそもが難しい市場なのです。
ソーシャルレンディングは生き残れるか
市場のないところで戦っていく事業者には選択肢があまりありません。
リスクのある怪しいところに貸すか、自分たちの利益を減らしていくかです。
今は、より怪しいところに貸し出しを広げていく状況が続いているように見えます。
海外、太陽光発電、身内の関連企業等々、本当に投資の価値があるのでしょうか。
私は早晩ほとんどのソーシャルレンディング業者が事業撤退に追い込まれると思っています。
その際、投資したお金が戻るかはその事業者の社会的なポジション次第だと思います。
AQUSHのようにうまく事業転換できているところやSBIのような大手は投資家に損が生じるような終わり方はしないと思いますが、そうでないところは損を投資家に押し付けて終わりということになると思います。
あくまで最終的なリスクを負っているのは投資した個人になりますから。
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