スポンサーリンク

2023年の骨太の方針で示された退職所得課税の見直し、私は賛成です

退職所得課税制度の見直し

2023年の骨太の方針の中に、退職所得課税の見直しが示され、また増税になるのかと議論を呼んでいます。
正確に言えば、あくまで見直しとなっていて増税とは書かれていないのですが、普通は増税になりますね。

しかし、私はこの退職所得課税制度の見直しには賛成です。
理由は、自分が退職金をもらってみて、あまりにも優遇されていると感じたからです。

定年退職、退職所得控除額が確定
恵まれている退職所得 普段サラリーマンである我々に重税を課している日本の税務当局ですが、なぜか退職所得だけは優遇されています。 多額の所得控除を認めた上に、残った金額を1/2にしてくれるというのだから太っ腹です。 しかも分離課税、社会保険料...
退職金、全額一時金受け取りの場合の税金を計算
支給される退職金のおおよその額と控除額が確定したので、全額を一時金として受け取った場合の税金の額を計算してみます。 退職所得の計算 退職金に課される税金の額を計算するためには、まず退職所得額がいくらになるか計算します。 退職所得は以下の計算...

骨太の方針で示された内容

骨太の方針で示された内容を引用してみます。

第2章 新しい資本主義の加速
(三位一体の労働市場改革)
「成長分野への労働移動の円滑化」については、失業給付制度において、自己都合によ
る離職の場合に失業給付を受給できない期間に関し、失業給付の申請前にリ・スキリングに取り組んでいた場合などについて会社都合の離職の場合と同じ扱いにするなど、自己都合の場合の要件を緩和する方向で具体的設計を行う。また、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行う。さらに、求職・求人に関して官民が有する基礎的情報を加工して集約し、共有して、キャリアコンサルタントが、その基礎的情報に基づき、働く方々のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制の整備等に取り組む。

現行の退職所得課税制度が、成長分野への労働移動の円滑化の妨げになっているというのはちょっと的はずれです。
その意味で、退職所得課税の見直しをここに持ってきたのは間違いです。
姑息な真似をせず、正々堂々と現行の退職所得課税制度には問題があると言い切れば良かったのに思います。

退職金関連で労働移動の妨げになっているのは、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行であり、その点に訴求しているのは評価できます。

現行の退職所得課税のどこが問題か

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

現行の退職所得課税制度は実は労働者に大変優しくなっています。
所得控除は勤続1年に付き40万円、20年以上は70万円。
所得控除後さらに1/2、社会保険料は関係なし。

今回問題になっているのは、勤続20年以上で所得控除が70万円に増える点のようです。
おそらく勤続年数に関係なく40万円ということになりそうです。
たとえそうなったとしても、まだまだ優位なことに変わりはありません。

もし可能であれば、退職直前の給与ないしは賞与を退職金として支給してもらえば随分と節税になりそうな気がします。

中小企業勤務者にはあまり関係ない

仮に、控除額が一律40万円に変更になったとして、高卒で勤続42年、60歳で退職の場合の控除額は40万円×42年=1,680万円です。
私の会社の場合、よほど確定拠出年金の運用を上手にやらないと退職金はこの金額には達しません。
多くの中小企業ではそんなものではないでしょうか。

記事を書いている高給取りの大手マスコミの皆さんには切実な問題かもしれませんが、そこまで大騒ぎする内容ではないと思います。

コメント