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いつの間にか老人ホームの紹介業が一大ビジネスになっていた

サンウェルズの不正請求

あまり報道されていませんが、金沢に本社のあるサンウェルズという東証プライム上場の会社で総額30億円近い医療費の不正請求が発覚しています。

サンウェルズは、パーキンソン病患者向けの有料老人ホーム「PDハウス」を全国で約40施設運営し、訪問看護サービスを提供しています。しかし、2024年9月に共同通信が、同社の訪問看護事業において不正・過剰な診療報酬請求が行われていると報道しました。当初、サンウェルズは「不正は一切ない」と否定し、法的措置を検討するとしていましたが、2025年2月7日、特別調査委員会の報告書により、不正請求がほぼ全施設(42施設中41施設)で確認され、総額約28億4700万円に上ると認定されました。
不正請求と認定されたのは医療保険分だけですが、当然介護保険においても不正があると思われます。
医療保険の不正に比べ介護保険の不正は調べにくいだけだと思います。
上場企業が起こした事件としてはとんでもない事件なのですが、2025年7月時点では上場は維持されたままですし、社長もそのまま、法人も個人も立件されていません。
これだけの不正請求が明らかになりながら営業停止にもなっていません。
二言目には「利用者の不利益」が口にされますが、こんな会社が延命される方がよほど社会の不利益です。
ただし、簡単に不正請求できてしまう現状、公明正大に運営していては利益が出ないということ自体が今の介護制度の限界を示すものだと思います。
厚生年金、医療保険、介護保険の中では間違いなく介護保険が持続不可能な制度です。

高額な紹介料の問題

サンウェルズの問題が報道される中で、明らかになったのが、同社が入所者1人あたり100万円の紹介料を紹介業者に払っていたという事実です。
国も紹介業者の存在を認識し、入所者の紹介料は、要介護度や病状に応じて数十万~百数十万円になっている実態を把握しているようです。

紹介業者に対して100万円を超える紹介料を払えるということは、入居した利用者からそれだけの収益が見込めるということです。
しかもその原資は保険料です。
また入居者を収益の見込める人と見込めない人で色分けすることでもあります。
介護保険制度はだいぶヤバい状況になっていると思われます。

紹介業者と紹介料

介護と縁のない人は知らないと思いますが、老人ホームを探す場合、紹介業者というのが存在します。
数ある老人ホームの中から選択するのは大変なので、こちらの希望に合わせて適当なところをいくつか紹介してくれるサービスです。
老人ホームを見学する際に同行もしてくれます。
私が母の老人ホームを探す際にも利用させてもらいました。

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家を探す場合、普通は不動産仲介業者を使います。
契約が成立すると、仲介手数料を利用者は仲介業者に支払います。
老人ホームの紹介においては、利用者は仲介手数料を払いません。
老人ホーム側が紹介業者に紹介料を支払います。
そういった構造です。

私が母の老人ホームを紹介してもらったときは、紹介業者は福祉全般を手掛けている中の一業務としてやっているという感じでした。
正確にいくら紹介料を貰えるのかはわかりませんでしたが、おそらく20〜30万円くらいのようでした。
それが今では100万円を超える紹介料になっているとのこと。
これなら十分本業として成り立ちます。

ただし、高額な紹介料は保険料からの利益を見越したものというのですから持続不可能です。
近い将来行政のメスが入って、これらの仕組みは淘汰されると思います。

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