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厚生年金の標準報酬月額の上限が65万円から75万円にアップ

厚生年金の標準報酬月額の上限アップ

厚生労働省が2027年9月から厚生年金の標準報酬月額の上限を、現行の65万円から75万にアップする方針であると伝えられています。
これが、高所得者の負担増と報道されたことで、年収798万円が高所得とは笑止千万だとか、一部の頑張っている人に負担を強いるなとか、あらぬ方向に批判が飛んでしまっています。
さらには厚労省の審議会の委員を務めている元お笑いタレントがSNSで炎上する騒ぎに。

厚生年金の負担が増えれば貰える年金も増えると擁護するも、火消しはならずです。
まあ、騒いでる人の多くは実際に負担が増える人ではない気もしますが…。

私は標準報酬月額の上限アップは当然の方向であると考えています。
アップしないに越したことはないですが、公平性のためにもしょうがないことでしょう。
ただし、年収制限のある各種の施策から年収制限を外すべきだとは思います。

厚生年金の標準報酬月額の上限とは

現在、厚生年金の保険料率は18.3%で、これを労使で折半しています。
一定の範囲の報酬を標準報酬月額として設定し、同じ報酬とみなして保険料が設定されています。

これが今は32段階、一番上の65万円が32等級とされ、厚生年金保険料は月118,950円です。
保険料は労使折半なので、月59,475円が給与から天引きされている人は上限に達しているということです。

これが上限なので、それ以上給与をもらっている人も月59,475円の負担です。
実質的に低い保険料率しか負担していないことになります。
これは明らかに不公平ですし、逆進的でもあります。

なぜ標準報酬月額に上限が設定されているのか

保険料は率で決まっているわけですから、本来は青天井であるべきです。
にも関わらず、上限が設けられているのはなぜなのでしょうか。

厚労省の説明によれば、以下の理由のようです。

  1. 高額所得者および事業主の保険料負担に対する配慮
  2. 保険給付額の上での格差があまりに大きくならないようにするため

特に保険料が青天井に増えても、それに見合ったほどには年金支給を増やせないことが一番の原因だと思われます。

ただ、上限額を超える報酬を貰っている人の割合が増え、調整が必要になっているのは事実です。

厚労省の資料より

ピラミッドの形の維持のためには、今後とも上限額のアップは続くと思われます。

健康保険料よりはマシ

高い高いと言われる厚生年金保険料ですが、健康保険料よりはマシです。

厚生年金は32段階ですが、健康保険は50段階あります。
標準報酬月額の上限は月1,390,000円です。
上限に達するレベルだと、介護保険料も入れて本人負担分が80,000円を超えます。

しかも、健康保険の場合、標準報酬月額の上限該当者が、3月31日現在で全被保険者の1.5%を超えたときは、政令でその年の9月1日から一定範囲で標準報酬月額の上限を改定することができる仕組みが設定されています。
議論の余地なく、上限額が上がっていくわけです。

今回これだけ上限額の引き上げが騒ぎになったので、厚生年金にもいずれ健康保険と同様の自動的に上がる仕組みが導入されることでしょう。

本当に問題なのは

上限額の引き上げで騒いでいる間に、厚生年金による国民年金の救済の話が密かに進んでいます。

強制的に徴収される厚生年金に比べて、金額も安くて納付での徴収、免除や未納も多い国民年金の財政基盤が弱いのは自明のことです。
一方で年金が国民年金のみの人は給付水準が少ないため、どうしても国民年金の底上げが必要になります。
そこで国民年金と厚生年金の積立金の統合が検討されているようです。

これはさすがにやばいです。
一線を超えちゃっている気がします。
自分の為に積み立ててきたつもりが、いつのまにか違う年金のために流用されるのではさすがに怒りたくなります。

ただ、国民年金の水準が維持できなくなれば、生活保護が増え、結局国民負担でまかなうことになります。
結局のところ年金問題は誰がどうやっても行き詰まりが見えてしまいます。
元気なうちに貰って、パーッと使ったほうが良さそうです。

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