金融正常化への道
日本銀行の総裁が変わります。
誰になろうと金融正常化への道筋をつけることが新総裁の役割であると言われています。
金融正常化へ進むということは、今は正常ではない、異常な状態ということです。
異常はいつか正常に回帰します。
どうなれば正常になったと言えるのでしょうか。
個人向け国債の金利から探ってみます。
個人向け国債の金利
直近、2023年3月15日発行の個人向け国債・変動10年の金利は0.32%です。
個人向け国債・変動10年の金利は基準金利と呼ばれる期間10年の国債の金利×0.66で決まります。
基準金利が0.49%であったため、
0.49%×0.66=0.32%
として決定されたわけです。
個人向け国債・変動10年の金利決定方式
この基準金利×0.66という決定方法ですが、2011年6月までは違う計算式で計算されていました。
それは、基準金利-0.80%という決定方式です。
しかし、低金利が続き、適用金利が低くなりすぎたため、決定方式が変更されたのです。
ちなみに2011年当時の長期金利は1.0%をちょっと上回るくらいで推移していました。
となると、以前の金利決定方式の下では、10年もの国債の金利が1.0%、個人向け国債・変動10年の金利が0.2%となります。
おそらくこの金利では個人向け国債が売れなくなり、対策が必要になったのでしょう。
そこで財務省の頭の良い官僚が考えたのが基準金利×0.66という新しい計算式です。
この決定方式が2011年から今に至るまで続いています。
ただし、この決定方式も長期金利がマイナスに陥る中では無意味になり、個人向け国債・変動10年の金利は0.05%の最低保証金利が続いていました。
節目が変わったのが2022年、長期金利の上昇とともに個人向け国債・変動10年の金利も上がり始めています。
もっとも、金利が上がり始めたとは言っても、依然として低金利であり、正常な金利水準に達したとは言えないでしょう。
個人向け国債の金利水準から考える金融正常化のレベル
どの程度まで金利が上がれば金融正常化したと言えるのかを個人向け国債・変動10年の金利から考えてみます。
私は、個人向け国債の金利決定方式が以前の、基準金利-0.8%、に戻った時と考えます。
つまり、基準金利-0.8%で決定される金利のほうが基準金利×0.66で決まる金利よりも高くなった時です。
計算してみます。
基準金利−0.8≧基準金利×0.66
基準金利が2.36%に達した時というのが答えです。
この時の個人向け国債・変動10年の金利が1.56%となります。
現在の金利水準からすると随分と高いレベルです。
長期金利が2%を超えていたのは1997年くらいまでです。
しかし、金融正常化というのであれば、そのくらいのレベルまで今後金利が上昇していくと覚悟しておく必要があると思います。
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