2016年6月23日に行われたイギリスの国民投票で、イギリスのEUからの離脱が決定しました。
相場の激しい変動
イギリスの国民投票の開票は日本時間の24日朝から本格的に始まりました。
BBCの開票速報を見ながら仕事をしていましたが、序盤では残留派が少しリードしていいました。
すでに数日前から残留派の優位が伝えられていたからでしょうか、株式相場、為替相場共に極端な動きは見られませんでした。
節目が変わったのは10時過ぎからでしょうか。
BBCの開票速報で離脱派が残留派を逆転しました。
この時点では大票田のロンドンなどがまだ開いていなかったので、正直まだまだ分からないと思っていました。
しかし、逆転したままその差が少しずつ開いていく状況。11時過ぎからは決定的な流れになり、一気に株安と円高が進みました。
お昼休みに離脱派の勝利が確定。午後からはさらに株安と円高が加速。そのままタイムアップという感じでした。
もちろん、プロを含め多くの人はポジションを整理していたでしょうから、特に為替は薄商いの中、思惑だけで上下した感はあります。
当分荒れるでしょうが、時間と共に落ち着いてくるでしょう。
離脱派勝利の要因は
キャメロン首相をはじめとする残留派の主張は、『EUから離脱は経済面でのリスクが大きい』という一点に付きます。
しかし、彼ら知的エリートは離脱派の本当の不満が、『イギリスがEUに加盟している経済的なメリットを感じられない』ことに端を発していることに気が付いていなかったのでしょうか。
移民の問題や国家主権の問題はもちろんあるでしょう。
しかし、はじまりは経済です。すなわちここでも格差の問題ということです。
EU加盟の経済的メリットを感じていない人々に、離脱したら経済が大変になると訴えてもあまり効果ないのは当たり前です。
終わってみれば、離脱派の勝利は当然ともいえるかもしれません。
イギリスの経済は厳しくなるのか
これから本当に厳しいのは、むしろEUの方だと思います。
強力なけん引役を失ったうえで、これまで以上のお荷物を引っ張っていかなければなりません。
もしかしたらイギリスは沈みゆく船から一番最初に脱出した乗客ということになるかもしれません。
もちろんイギリスにとってEU内で一時的にせよ特別な地位を失うことは痛いですが、そこは交渉です。
距離的にも近いEUの市場を失うことはないでしょう。
金融センターとしての地位が危ういという主張もありますが、じゃあパリやフランクフルトがロンドンに代わり得るかといったらそれも難しいでしょう。
なによりイギリスにはEU以外にもイギリス連邦があります。
資源国としてのカナダやオーストラリア、南アフリカ。
世界最大の可能性を持つインド。
アジアの拠点としてのシンガポールや香港。
中国との関係も日本よりははるかに良好です。
離脱派の言葉ではないですが、さすがに大英帝国の遺産が今でもあります。
スコットランドの独立が再浮上すると、北海油田の先行きに黄色信号が灯りますが、意外に経済面でのダメージは少ないのでないかと思います。
ヨーロッパの終わりの始まりなのか
もしかしたら2016年6月23日はEUという壮大な実験の終わりの始まりとなる日になるかもしれません。
少なくともEUがこれまで通りに拡大を続けていくことは難しくなったことは確かです。
ほかの国でも離脱の動きが出るでしょうし、ギリシアの債務問題も再度顕在化してくるでしょう。
EUが弱くなれば、東欧やバルト三国にロシアがまたちょっかいを出してきます。
超人的な体力を誇るドイツのメルケル首相がいなくなれば、一気にEUは瓦解するかもしれません。
いずれにせよ歴史の教科書に載るであろう事態を目の当たりにしていることだけは間違いなさそうです。
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