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確定拠出年金への移行が進んでいる現状を厚労省の資料から読み解く

厚生労働省社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)の議論

企業年金や個人年金にあり方が、厚生労働省の社会保険審議会(企業年金・個人年金部会)というところで議論されています。
議論は公開されていて、申し込めば傍聴できるようです。(今はコロナ禍のため、いろいろと制限がついているようですが)

議論にあたって配布されている資料の中で、企業型の確定拠出年金の現状について分かりやすいものがあったので紹介します。
2020年9月30日に開催された部会において参考資料として用意された、企業年金・個人年金制度の現状とについてという資料です。

企業型確定拠出年金は増加傾向

企業年金は確定給付年金と確定拠出年金への移行が明白で、中でも新規に設立される企業年金では確定拠出年金が圧倒的であることが読み取れます。

また、確定給付年金から確定拠出年金への移行が少しづつ始まっているのも見逃せません。
私の勤務する会社が、まさにこの確定給付年金から確定拠出年金への移行を実行した会社になります。

確定拠出年金への移行が進む理由は何か

現時点での資産残高を見ると、確定給付年金のほうが確定拠出年金に比べてはるかに大きいことがわかります。
しかし、確定拠出年金の残高も確実に増えています。
今後、大企業が多いであろう確定給付年金の給付が進んでいくと確定給付年金の残高の増加が止まり、その差は縮まっていくのではないでしょうか。

そもそも確定給付年金への移行の流れがなぜ進むのか、この資料では明確に説明されていません。
私は経営側に近い立場で仕事をする中である仮説を持っています。

ここ何年も確定給付年金を採用している会社は、予定利率の引き下げや運用環境の悪化に苦労してきました。
そのたびに、積み立て不足の解消や従業員の同意を得るための説明など、とにかく面倒くさい手続きに追われてきました。

企業経営においては見通しが良くわからないというのが一番嫌われるのです。
確定拠出年金のようにとにかく拠出して経費処理してしまえば、それでおしまいというのが好まれるのは理解できます。

その昔、
「従業員には運用とか面倒くさいことを考えずに仕事に専念してもらいたい。リスクは会社側が負う」
と当時の社長が確定給付年金を選択したのが私の勤務する会社でした。
そんな会社ですら、ついに「運用は社員の責任で。もしかしたら退職金がすごく増えるかも」に変わらざるを得なくなったのですから、今後もこの流れは止まらないと思います。

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