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高年齢雇用継続給付金で再雇用時の給与低下をどこまでカバーできるのか

定年再雇用時の給与低下

定年再雇用の場合の給与、労働条件も変わるのが一般的なので一概には言えませんが、減額になるのが普通です。
20%〜40%程度の減額が多く、賞与も支給されなくなる事が多いのでかなりの収入減になります。
裁判では4割を超える減額は違法という判決が出ていて、現在は最高裁で争われています。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

判例の積み重ねである程度の基準ができるでしょうが、収入が下がるのは現状では避けられません。

高年齢雇用継続給付金とは

再雇用時の収入低下をカバーする制度として、高齢者雇用継続給付金という仕組みがあります。
雇用保険の枠組みで提供されるもので、60歳以上の労働者の継続雇用・再雇用を促進し、失業を防ぐために設けられた制度です。
具体的には、一定の条件を満たした高年齢雇用者の賃金を原則15%補償してくれます。
これによって、定年退職後の高齢者の就労を促進すると同時に、減少した収入を補ってくれることになります。

定年再雇用時に会社と雇用条件面で交渉があると思いますが、その席で会社側から必ず説明があると思います。
というか、会社側は高年齢雇用継続給付金の支給を前提に賃金の低下を提案してきます。

その際、減った分の全額が補填されると誤解している人がいます。
冷静に考えればそんな事はありえないとわかるのですが、具体的に金額で説明されず、補填の部分ばかり強調されるので、いざ貰ってみて「あれ?」ってなっている場合をよく見かけます。

高年齢雇用継続給付金の支給条件

  • 失業保険による基本手当や再就職手当を受給していない
  • 60歳時点と60歳以降の賃金を比較した際に、75%未満に低下している
  • 60歳以上65歳未満で雇用保険の一般被保険者である
  • 雇用保険の被保険者期間が5年以上ある
  • 支給月の賃金が36万584円以下である

要するに、60歳以降の賃金が365,840円(賞与を含めない)で60歳以前に比べ25%以上減額になっていればもらえるということです。

高年齢雇用継続給付金の支給期間

  • 60歳になった月から65歳になる月まで

65歳の誕生日で退職した場合、誕生日が月末最終日でない限り、その月の分はもらえません。

高年齢雇用継続給付金の支給額

高年齢雇用継続給付金の支給額は、ひと月ごとの「賃金の低下率」に応じて算出されます。

低下率=支給対象月の賃金額(現在の賃金額)÷60歳到達前の6ヵ月間の平均賃金額×100

低下率が61%以下の場合:支給額=支給対象月の賃金×15%
賃金低下率が61%より大きく75%未満の場合 :支給額=支給対象月の賃金×一定の割合(0%〜15%)

支給率
厚生労働省の資料より

実際の支給額は早見表が用意されています。

支給額の早見表
厚生労働省の資料より

支給額の実例
厚生労働省のQ&Aより

45万円だった給与が27万円になった場合、40,500円が支給されます。
決して小さくない金額ですが、そもそも給与が18万円も低下しているわけです。
もちろん無いよりはマシですが、十分に補填されているレベルではないでしょう。

定年退職時の給与がそもそも役職定年等で50代前半に比べて減っていればなおさらです。

高年齢雇用継続給付金では給与低下をカバーしきれない

私の結論として、高年齢雇用継続給付金では定年後給与の低下をカバーしきれないということになります。
高年齢雇用継続給付金に期待するのではなく、賃金の低下を最小限にするべく会社と交渉したほうが得になります。

ちなみに私はこの給付金を貰っていません。
賃金の低下率が低いのと、賃金が基準以上だからです。

高年齢雇用継続給付金の縮小や廃止

そんな高年齢雇用継続給付金ですが、2025年4月からの段階的縮小・廃止がすでに決定しています。
現在の給付率15%が10%に縮小され、段階的に廃止される見込みです。
私の世代は65歳まで15%の支給率が維持されますが、私より3歳年下の世代からは即適用になります。
ここでも若い人にしわ寄せが行くわけです。

定年再雇用時の給与については、同一労働同一賃金の原則からも給付金等に頼らない形で決まっていくようになると思います。
現在、いくつかの裁判が進行中で、その結果にも注目が集まります。
いずれにせよ、会社としっかり交渉するというのが大事だと思います。

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