スポンサーリンク

住宅ローンの繰上返済、実際に繰上返済した経験から考えてみる

昨今の繰上返済を巡る議論

金利上昇局面になってきたからでしょうか、住宅ローンを巡る話題をよく目にします。
目立つのが、頭金をどのくらい入れるのか、繰上返済をするのか、という話です。
要は借りられるだけ大きく借りるのか、なるべく借金を小さくするかということです。

私自身は、頭金をめいいっぱい入れて、繰上返済を急いだ口なので、以下はバイアスのかかった意見です。

15年に及ぶ、住宅ローンと共に暮らした日々を振り返る
住宅ローン完済2002年に借りた住宅ローンを2017年に完済しました。元々は20年ローンで借りたもの、結果的に5年短縮することができました。完済したことで、今後住宅ローンのことを考える機会はなくなると思われるので、この機に振り返っておきます...

住宅ローンに関する最近の主流は、「なるべく大きく借りて、繰上返済は行わない」だと思います。
以前は、少なくともお金に関するアドバイスをする立場の人の多くは、「住宅ローンはなるべく早く返した方が良い」だったと思うのですが…。
昨今はあらゆる人が繰上返済否定派になっている気がします。

繰上返済は損なのか

手元資金があってもローンを組んだ方が良い、繰上返済はしない方が良いと主張される理由は明白です。

  • 住宅ローンは金利・期間共に非常に有利な借入である
  • 住宅ローン減税の存在
  • 団体信用生命保険の存在
  • 借入金利を上回る投資利益が見込める

どれももっともな理由です。
しかし、こういう議論の中にこそ危険が含まれています。

住宅ローンが有利な借入であることは確かです。
それは誰もが頑張って返して、貸し倒れにならないからです。
ただし、いずれにせよ借金は借金です。

住宅ローン減税の存在は大きいです。
住宅ローン減税は確実な節税手段であり、額もそれなりに大きいものです。
したがって住宅ローン減税が適用される間は繰上返済はしないほうが得であるのは事実です。

団体信用生命保険の存在も大きいですが、自分が死んで借金が無くなることが得とは言えないでしょう。
担保されるのも残債の額までであり、ある程度返済が進んだ状況で、なおこの点に魅力を感じるのだとすれば、それは借入金額が大きすぎるということです。

さて、問題は借入金利を上回る投資利益が見込めるとの主張です。
確かに最近の投資環境はだれでも住宅ローン金利を上回る利益が実現できている状況です。
しかし、確実に支払う住宅ローン金利1%とあくまで見込みである投資利益5%を同じ土俵では比べられません。
借り入れて投資をしている状態であることは確かだからです。

未来は予測不可能

60歳を超えて思うのは、つくづく未来は予測不可能だということです。
長期に渡って住宅ローンを支払っていく間には驚くようなことが次々に起こります。

この30年ほどを振り返っても、

  • 地下鉄サリン事件
  • 阪神・淡路大震災
  • 長銀・山一證券・拓銀他の破綻
  • 統一通貨ユーロの導入
  • アメリカ同時多発テロ
  • リーマンショック
  • 欧州債務危機
  • 東日本大震災
  • 露によるクリミア併合
  • イギリスEU離脱
  • 新型コロナ感染症の蔓延
  • ロシアのウクライナ侵攻
  • イスラエルとハマスの紛争

100年に一度の出来事が5年毎に発生しています。
その他にも日本では毎年大きな風水害が発生しています。

幸いにも私は上記の出来事で致命的な状況に陥る事はありませんでした。
これは単に幸運だっただけです。
もちろん住宅ローンを繰上返済したからといってリスクから逃れられるわけではありません。
ただ直面する問題を単純化することはできると思います。

結局のところ、私は長期にわたって負債と投資の両方を抱えて生活するべきではないと考えています。
借金のある状況で投資にのめり込むな。
投資は住宅ローンを返済し終わってから始めても十分に間に合うと思います。

繰上返済せずに投資して良い人

私の考える住宅ローンを繰上げせずに投資に回して良い人とは、自宅の購入を投資と割り切れる人です。

持ち株が30%下落、持ち家の価値が30%下落、その状況で仕事を失った時に即座に株と家を損切りして都営住宅に引っ越す。
これができる人なら繰上返済せずに投資に回してよいでしょう。

できない人は、素直に少しずつ操上返済していったほうが良いと思います。
多くの人は、投資で利益が出ることよりローンの残高が減るほうが気持ちよく感じるはずです。

 

 

コメント